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栄養のプロが語る亜鉛と髪の毛の深い関係
管理栄養士として、日々多くの方の食生活に関する相談に乗っていると、美容に関するお悩み、特に髪の毛に関するご相談をいただく機会が非常に増えています。その中で、私がいつも重要性をお話しするのが、ミネラルの一種「亜鉛」の役割です。現代の食生活において、亜鉛は意識しないと不足しがちな栄養素の代表格と言えます。その理由の一つは、加工食品の普及です。食品を精製・加工する過程で、多くのミネラルが失われてしまいます。手軽なファストフードやインスタント食品に頼りがちな食生活では、亜鉛不足に陥りやすいのです。また、過度なダイエットや偏食も大きな原因となります。では、なぜ亜鉛がそれほどまでに髪にとって重要なのでしょうか。専門的な視点からお話しすると、亜鉛は体内で働く300種類以上もの酵素の構成成分であり、その多くが新陳代謝に関わっています。髪の毛は、毛母細胞という細胞が、猛烈なスピードで分裂を繰り返すことで作られる、まさに新陳代謝の塊です。亜鉛は、この細胞分裂を正常に行うために不可欠な存在なのです。さらに、髪の主成分であるタンパク質「ケラチン」の合成にも、亜鉛を必要とする酵素が深く関わっています。亜鉛が不足すると、髪の材料をうまく作れず、細く弱い髪しか生えてこなくなってしまいます。こうした背景から、私は髪の悩みを持つ方には、まず食生活の見直しと共に、補助的に亜鉛サプリメントの活用をお勧めすることがあります。特に、肉や魚をあまり食べない方、外食が多い方、そして加齢と共に食事量が減ってきた高齢者の方は、サプリメントで補うメリットが大きいでしょう。ただし、サプリはあくまで食事の補助です。牡蠣やレバー、赤身肉、ナッツ類など、亜鉛が豊富な食材を日々の食卓に上手に取り入れることが基本です。亜鉛という一つの栄養素に注目することは、ご自身の食生活全体を見直す良いきっかけになります。バランスの取れた食事が、健やかな髪、そして健やかな体全体の土台となることを、ぜひ忘れないでいただきたいと思います。