ミノキシジルは、女性の薄毛治療においても有効な選択肢の一つです。しかし、その副作用である「多毛症」は、男性以上に女性にとって深刻で、精神的に大きな負担となる可能性があることを、治療を始める前に必ず理解しておく必要があります。男性の場合、腕や足の毛が多少濃くなっても、それを「男らしい」と捉える向きもあり、あまり気にしない人も少なくありません。しかし、女性にとって、これまで気にならなかった部位に濃い毛が生えてくることは、美容上の大きな問題となり、QOL(生活の質)を著しく低下させることになりかねないのです。女性の多毛症で特に問題となりやすいのが、「顔」への影響です。ミノキシジル、特に内服薬を服用した場合、顔全体の産毛が黒く、長く成長してしまうことがあります。額の生え際が下がり、おでこが狭くなったように感じたり、もみあげが濃く長くなったり、頬やフェイスラインにまで毛が目立つようになったり。そして何より、女性が最も気にするのが、口ひげのように鼻の下の産毛が濃くなることです。毎日の化粧ノリが悪くなるだけでなく、人と対面で話すことにさえ、強い抵抗を感じるようになるかもしれません。また、顔以外にも、手の甲や指、腕、うなじといった、普段から人の目に触れやすい部分の体毛が濃くなることも、大きなストレスとなります。夏場に腕を出すファッションを楽しめなくなった、指輪をしている指の毛が気になって手を見せるのが恥ずかしい、といった悩みを抱える方もいます。もちろん、髪が生える喜びは何物にも代えがたいものです。しかし、その代償として、毎日のムダ毛処理に追われたり、他人の視線を常に気にしたりする生活を送ることになる可能性も考慮しなければなりません。だからこそ、女性がミノキシジル治療、特に内服薬を検討する際には、男性以上に慎重であるべきです。治療を開始する前に、専門医と十分に話し合い、多毛症のリスクと、そうなってしまった場合の対処法まで含めて、深く理解し納得することが不可欠です。
女性は特に注意!ミノキシジル多毛症の深刻な悩み