美容医療の現場で日々多くの患者と向き合う専門医の視点から見るとメソセラピーは非常に有用なツールである一方で決して万能な魔法ではなくその限界を明確に認識しておくことが治療後のミスマッチを防ぐために何よりも重要です。医師が口を揃えて指摘するのはメソセラピーはあくまでボディコントゥアリングや肌質の改善を目的とした治療であり高度肥満の減量や重度の皮膚のたるみの改善には限界があるという事実です。例えばBMIが三十を超えるような肥満患者が痩身目的で来院した場合脂肪溶解注射だけで標準体重まで落とすことは経済的にも身体的にも非現実的でありまずは食事療法や運動療法あるいは内科的なGLP1受容体作動薬などの使用を優先しある程度体重が落ちてから最後に残った局所的な脂肪を整えるためにメソセラピーを活用するのが医学的に正しいアプローチとなります。また加齢によって皮膚が大きくたるんでしまった場合脂肪を減らすことで中身のボリュームがなくなりかえってたるみが悪化して見えることもあるためこのようなケースではハイフや糸リフトあるいは切開リフトといったたるみ治療を併用するか優先する必要があります。しかしその一方でメソセラピーの技術と製剤の進化は目覚ましく従来の手術では対応が難しかったデリケートな部位や微細な調整が可能になっている点には大きな可能性が秘められています。最新の製剤では鼻の脂肪を減らして鼻筋をすっきりさせる治療や瞼の厚みを取る治療などが低侵襲で行えるようになりこれまで手術を受ける勇気がなかった層に対しても治療の選択肢を提供できるようになりました。さらにエクソソームや幹細胞培養上清液といった再生医療の技術を応用した次世代のメソセラピー製剤が登場しておりこれらは単に足りないものを補うだけでなく細胞そのものを若返らせて機能回復を図るという根本治療に近い効果が期待できるためアンチエイジングの概念を大きく変えつつあります。医師としての役割は最新の知見に基づいた最適な薬剤と治療法を提案することですが同時に患者に対してできないことはできないとはっきりと伝え過剰な期待を修正する誠実さも求められており患者側も医師との対話を通じて自分にとってベストな治療法を共に模索していく姿勢が成功への鍵となるのです。