白髪は加齢の象徴として多くの人を悩ませますが実は白髪の発生メカニズムもヘアサイクルと密接に関係しておりサイクルが回る過程で色素を作るシステムにエラーが生じることで黒い色が着かなくなってしまう現象です。髪の色は毛母細胞の隣にある色素細胞メラノサイトが作り出すメラニン色素によって着色されていますがこのメラノサイトも髪と同じようにヘアサイクルの影響を受けて活動と休止を繰り返しています。成長期には活発にメラニン色素を作って髪に供給していますが退行期に入るとメラノサイトも活動を停止し一部は死滅したり休止状態に入ったりします。そして次の成長期が始まるときにバルジ領域にある色素幹細胞から新しいメラノサイトが供給・分化され再び色素を作り始めるのですが加齢やストレス遺伝などの影響でこの色素幹細胞が枯渇したり機能が低下したりすると新しいメラノサイトが供給されず白髪のまま生えてきてしまうのです。また成長期の途中でも酸化ストレスなどのダメージによってメラノサイトが一時的に機能を停止してしまうことがありこの場合は髪の途中から白くなることもあります。一度白髪になってしまった髪でも毛根に色素幹細胞が残っていれば血行促進や栄養補給によって機能が回復し次のヘアサイクルで再び黒髪が生えてくる可能性はゼロではありませんが幹細胞自体が失われてしまっている場合は元に戻ることは難しいとされています。さらに白髪を無理に抜くと毛根がダメージを受けてヘアサイクルが乱れ次に生えてくる髪がさらに弱くなったり癖毛になったりするリスクがあるため抜くのではなく根元から切るか染めるなどの対策が推奨されます。白髪の予防には抗酸化作用のある食事を摂ったり頭皮を紫外線から守ったりして色素幹細胞を酸化ストレスから守ることが重要でありヘアサイクルを正常に保つ努力は黒髪を守ることにも直結しているのです。私たちの髪を作り出す毛包には寿命があり一生のうちに繰り返すことができるヘアサイクルの回数には限界があるという事実はあまり知られていませんが近年の科学研究によってその残酷なメカニズムが徐々に明らかになってきています。一般的にヘアサイクルは一生で十五回から二十回程度繰り返されると言われており計算上は百年近く髪を維持できるはずですがAGAなどの影響でサイクルが極端に短くなるとこの回数を急速に消費してしまい若くして寿命を迎えてしまうことになります。毛包の寿命が尽きるとはどういうことかというと次の世代の毛母細胞を生み出すための源である毛包幹細胞が枯渇したりDNAダメージの蓄積によって17型コラーゲンというタンパク質が分解され幹細胞が皮膚の表面へと押し出されてフケとなって脱落してしまったりすることで毛包そのものが縮小・消失してしまう現象を指します。一度消失してしまった毛包を復活させることは現在の医療では不可能でありこれが薄毛治療の限界とされてきました。